ハーバード大学で学んでいたときに、驚いたことがあった。授業の中で学生が質問の手を挙げるのだが、なんとも基礎的なことを聞くのである。これが、世界で最も優秀な学生たちなのか、恥ずかしくないのか、と私は感じたのだが、それほど単純な話ではないことに後に気づかされることになった。
そうした質問をする学生たちは、他者への無知ではなく、自分の無知を大事にしていたのである。学びたいという気持ちが強ければ、周りの目など、どうでもいいのだ。自分の無知を発見したときに、それを堂々と問いかけ、知に変えていくのである。学びへの貪欲さがあるから、それができる。そして、自らの無知を、きちんと認識しているからこそ、できるのである。
媚びない人生 ジョンキム